vol.11

■大切な調味料 さ・し・す・せ・そ の し 
 塩は九十年もの間、国による専売制度がとられてきました。専売制となったきっかけは日露戦争の戦費捻出といいますから、もう本当に長い間、国に管理されていたんですね。日露戦争後は、塩の価格を安定させるという国策で、つい最近まで買入価格や卸への売渡価格、そして販売上限価格も、すべて国の認可が必要で、きびしく管理されてきました。 この記事で紹介されている能登の塩づくりは、江戸時代からずーっと同じ製法で、海水を桶で運んで乾かすという、大変に手間の掛かる作業です。専売制の時代は、塩一トンがわずか二万円で買い上げられていたといいますから、まるで割に合わない仕事だったでしょう。それでも辞めなかったのは、あくまで同じ方法で塩を作ることで、おなじ味を守りたかったからだとか。
一九九七年に専売制がなくなり、たくさんの種類の輸入塩が店頭に並ぶようになりました。そして、日本古来の製法で守りつづけてきた素晴らしい塩にも、ようやく陽があたるようになりました。世界中のどんな塩でも選びたい放題。そんな今だからこそ、日本の職人が守ってきた、こんな塩にも注目してみたいですね。
(考える人 通巻14号/「台所でにっこり」)


リアム・ギャラガー
 <メンズ・ノンノ>12月号の、彼のインタビュー記事を読み逃したオアシスファンの方はいるだろうか?1階フロアに<メンズ・ノンノ>は置いてあるので、ご安心を。
「オレらの曲は、野郎には捧げねえ」など、リアム節は健在であり、又、自他共に認める自分自身の変化についてもさらりと話しているので、一読されたし。
 ところでこの<メンズ・ノンノ>12月号は、貴重な雑誌になるかもしれないので、借りた方は汚さないで返却される事を切に願う。
 『自分が読みたくて借りた本が汚されていたら、イヤな思いするだろ?だから、自分がイヤな思いをさせる側になるんじゃねえよ』
−今のリアムならきっとそう言うはずだ。
(Men’s non−no 20巻12号通巻235号 /「オアシス リアム・ギャラガー シュール・ダイアログ」) 


彷書月刊リトルマガジン特集!
ミニコミといった方が馴染みの人も多いかもしれないですね。いわゆる小規模に刊行されている雑誌についての特集号です。大手の流通に乗らなくても、とことん好きなものを好きにつくる!という独特の熱にふれることが出来ます。地方の雑誌、極端にテーマを絞った雑誌など、普段見ることのない様々な雑誌が、つくり手側から、あるいはつくり手と読み手を結ぶ書店員の目線から紹介されています。
全部がおもしろかったけど、特にお薦めなのが、リトルマガジンを多く扱う書店の方々によるこの対談記事。
 「書肆アクセス」「模索舎」「タコシェ」といえば、本好きの方にはお馴染みでしょう。この個性的な書店の方々が、それぞれ扱っている雑誌を持ち寄って、互いにそれを紹介しながら雑誌の面白さについて語りあっています。他にもこの特集では、詩人の荒川洋治さん、ペヨトル工房夜想」編集長の今野裕一さん、「早稲田文学」の朴文順さんなど、リトルマガジンに内側から関わった方々の貴重な話もたくさん掲載されています。ザッパーを毎回お読みの、雑誌好きのあなたならば、この記事の面白さがきっとわかります。ぜひご一読を!
(彷書月刊 二二巻一号 通巻二四三号/「こんな雑誌あつかってます。」)
 

■平積みジャッジ
NHKで放映中の『名作平積み大作戦』をご存知だろうか。この番組は、現代はあまり読まれていない名作文学を再発見し、書店に対して平積みをよびかけることをコンセプトとする文学エンタテインメント番組である。プレゼンターがあるテーマに沿った作品を紹介し手書きのポップを見せる。これを会場の観客五〇人の反応と書店員が自店で平積みするかどうかジャッジを下すのだ。平積み展開した期間の売り上げを集計し番組の最後に発表する。オンエア後の方が反響が大きいというが、プレゼンテーション効果で、今まで読んだことがなかった名作を読んでみたいと思わされるのかもしれない。プレゼンターの手書きのポップも味が出ていて、たとえば、きたろう氏や江川達也氏などのポップも紙面で紹介されている。視点を変えた紹介方法もおもしろい。まさに名作をプロデュース?!
(Web&Publishing編集会議 通巻五九号/ヒット書籍を生む、次なるキーワード!)


■もらって嬉しい贈り物
 プレゼントを選んでいる時、相手の喜ぶ顔を想像してしまう人っていると思います。「どんなものがいいのかな?」「何をあげたら喜ぶかな?」「あの人(子)らしいものがいいな!」とか、悩んで、悩んで結局選べなかった〜なんていう人もいるかもしれませんね。でも、プレゼント選びが上手な人っていますよね。「あの人からの贈り物っていつもセンスがいいなぁ」とか、「このプレゼントをもらって本当に嬉しかった!」なんて思わせてしまうような贈り物のスペシャリスト。きっと、私たちが知らない素敵な物を多く知っているのでしょうね。というわけで、こんな記事を見つけちゃいました。贈り物上手な8人の女性と、贈り贈られる機会が多い各地の老舗の社長に、いま贈りたいメイド・イン・ジャパンを聞くという特集です。ここで紹介されているもの全てが素敵でしたが、特に私は、「きらく一番詰め合わせ」(草加亀楽煎餅本舗)が気になっちゃいました!だって、お煎餅大好きなんだもんっ!!その他、居・食・住の素敵な贈り物が解説を交えて紹介されています。見ているだけで和んでしまうかも。
(easy traveler vol.13/「いま贈りたいメイド・イン・ジャパン」)


■和のマナー特集
「正しい懐石料理のいただき方やお茶の作法を知っていますか?」
「ドキっ」とした方に、こんな記事を紹介。懐石料理の食べ方やお茶の作法はもちろん、着物の装いマナーや参拝方法までやさしく解説。
 例えば、神社とお寺の参拝方法がそれぞれ違うことはご存知ですか?「二礼二拍手一拝」が一般的な神社の参拝方法ですが、これに対してお寺では、最後に拍手は打たずに手を合わせて合掌します。これ、意外に混同している方、いらっしゃるのではないでしょうか。
 また、昨今は和ブームと言われ、世代を問わず注目されている日本文化です。文化に触れることで、改めて日本の良さにも気づかされることも多いのではないでしょうか。
 歌舞伎や能、狂言から文楽まで伝統芸能が今熱いですが、こうした舞台芸術に親しむための基礎知識をつけて鑑賞してみるとまた一歩違った面白さを発見できるかも知れません。これを機会に、大人の女を目指しましょう〜!
日経WOMAN 通巻二五二号/「大人の女の「和」のマナー」)

■科学技術コミュニケーター
 科学的な合理性を最優位に考える科学者と、一般社会の価値観とは、古来必ずしも一致しないものだ。
科学的知識には人間の直感を否定する面がある。だから、宗教や人文学のような価値観から見ると、非人間的で受入れ難い面が多々あるのだろう。古くは「地球は動いている」なんていうのもそうだっただろうし、最近では生命科学と倫理・法の問題なんかがそうだろう。でも、互いの価値観に固執して、対立する概念を批判してばかりいても、何の進歩も得られない。
そんなわけで、やはり合理的思考が得意な科学者側に動きが出てきた。それがこの記事で紹介されている「科学技術コミュニケーター」だ。
  科学技分野と社会のかかわりを眺めて見ると、確かに以前とはちょっと変わってきている。医療・環境・交通事故など、科学者(専門家)と生活者の接する分野が拡大しているし、そこでの科学的な説明は、生活者にとって大きな意味を持つ。科学者に異議を唱える生活者側も高学歴化が進んでいるから、専門家任せではなく自分自身の知識や見識に基づく意見を口にするようになっている。
 こうした状況の変化は、何も最近に限った話ではない。大昔から社会と科学技術の関係は、地動説や進化論のように、常に時代によって変化するものでもあった。だからこそ、先端科学を社会にわかりやすく説明するのと同時に、社会にとってどんな科学技術が必要なのかを考える必要もあるのだという。
 科学的な合理性ばかりではなく、社会の受け止め方も考えようというこの「科学技術コミュニケーション」という柔軟な発想は、これからの社会に有形無形の大きな変化をもたらすんじゃないか?そんな予感がする。
(科学 vol.76 no.1/「科学技術コミュニケーターの社会的役割と文化論的展望」)


■宇都宮美術館に急げ!
 デザイン作品の収集や特別展の開催に力を入れている宇都宮美術館。1000点を超える世界各国のポスター作品を所蔵している美術館でもあります。
 その宇都宮美術館で「you&me&poster きみとぼくとポスター」が開催中です。この企画展は、絵本「コップちゃん」(ブロンズ新社)などの作品で知られるイラストレータ100%ORANGEが、宇都宮美術館所蔵のポスターから選んだ作品をずらりと展示するもの。(100%ORANGEをよく知らないという方、雑誌「POOKA 絵本工房」の表紙を毎回手がけている方ですよ。)その「POOKA−」の中で、この企画展の裏側を100%ORANGE自身がレポートしているので、是非チェック!開催期間があとわずか(1/22まで)なので、急げ〜
POOKA 絵本工房  VOl.12/ 「REPORT 100%ORANGE」)


■最新式の天文台が中国に
中国の北京古観象台。ここは、現存する世界最古の天文台のひとつだといわれています。宇宙といえばヨーロッパやアメリカという印象をお持ちの方が多いかもしれませんが、どうやらちょっと違うみたいです。
 古来、中国の人々には天を仰ぎ見る習慣があったようです。紀元前に活躍したあの秦の始皇帝も、彗星の観測に熱心だったとか。それに、木星の衛星をガリレオが発見する二千年以上も前に、既に中国では発見されていたのだそうです。この天文台は、天体望遠鏡以前の時代の天文観測施設です。現在は、「北京古代天文儀器陳列館」として当時の観測機器が展示されています。
 そして二〇〇四年。同じ北京市内に、最新技術を駆使した新たな天文台が登場しました。こちらは、二万平方メートルもの巨大建築で、世界初の装置も多数導入された超未来型コスモスペースです。最新式の太陽観測装置が捉えた太陽を、球形のスクリーンに映し出したり、3D・4Dで宇宙空間を体験できる(ってどういうことかなぁ?)デジタル宇宙劇場を備えるなど、エンターテイメントとエデュケーションが融合した、かなり刺激的で魅力的な施設となっています。
 北京オリンピックに向けての政策的な面もあるようですが、北京市政府が巨額を投じてこんな施設をつくってしまうあたりは、始皇帝の時代から現在に至るまで、天を仰ぐ文化が本当に根強く残っていることを感じさせてくれますね。
(翼の王国 通巻四三八号/「天文台[北京発]」)


スフィンクス像の謎は解明できるか?!
 ギザのスフィンクス像。歴史や地理に弱くても、この言葉は聞いた事があるはずだ。しかし、このスフィンクス像にはいくつかの謎があり、様々な説があることはご存知だろうか。
 主流派の科学者たちは、スフィンクスは建造後四五〇〇年が経過するといっているが、その建造年についても「ノアの大洪水以前の時代だ」と異論を唱える学者もいる。また、スフィンクスは「だれを模したものなのか」ということも未だ不明であり、「カフラー王」説、「クフ王」説など、未だ新説が飛び交っている。それ以上に、そもそも「だれ」でなく「なに」を模したものなのかという議論に発展している。今後も様々な仮説が展開されることが予想されるが、これだけ長い年月を経ても人びとを魅了し続け、現代においてもその謎を解明しようとする研究者や学者が跡を絶たないのだからすごい。また、この記事では、エジプトのスフィンクスと火星のシドニア地区などの遺跡群との関連性に触れるなど、宇宙にまで仮説が広がっている。スフィンクスには三つのタイプがあるといわれていて、そのうちの一つ「アンドロスフィンクス」は人間の知性とライオンの強さを併せ持つ存在とされている。火星の遺跡群にもライオンのイメージが意匠として盛りこまれている可能性もあり、またギザのスフィンクス像もそもそもはライオンの姿だったものを後から人間の顔に修復したのでは?という推測もあるというのだ。
 ギザの大スフィンクス像がそもそも獅子像だとすると、神話的アプローチからも、古代天文学的アプローチからも十分に説明できるとも言われているが、果たしてあなたはどの仮説を信じますか?
 詳細はこの記事を読んでみてください。スフィンクスにまつわる様々な学説が分かりますよ。まだまだミステリーな要素がたっぷりありますが、これをきっかけにエジプト学に注目してみるのもいいかもしれません。
 また、この記事は、「ディスカバリーチャンネル」のレビューです。「ディスカバリーチャンネル」は、「スカイパーフェクトTV!」やケーブルテレビで視聴できる、世界最大のドキュメンタリー専門チャンネルです。世界百六十カ国、約四億五千万世帯で視聴されてます。「自然」「科学とテクノロジー」「歴史」「ワールドカルチャー」「ヒューマンアドベンチャー」の五分野のドキュメンタリー番組を毎日二十四時間放送しているんですよ。ゆうき図書館は、このDVDもいくつか所蔵しています。雑誌とDVD,両方からお楽しみいただけますよ。
(ムー 28巻1号/「大スフィンクス像は改造されていた!!」)