vol.16

Access挫折者!必見!!
「DB Magazine」というと、SEやプログラマといったシステムの専門家が読む雑誌というイメージが強いだろうと思う。でも、ここで連載されているMS-Accessの講座は、意外なほどわかりやすい。
 この連載、Access以外のデータベースソフトを既に習得している人向けだから、それほど平易な言葉が並んでいるわけではない。でも、操作手順の説明なんかよりも、「Accessで何ができるの?」という部分にポイントを絞った解説なので、理屈がわからないからAccessが嫌いだという人には良い内容かもしれない。前提知識の有無はさておき、きっとこんなアプローチならAccessが好きになれただろうに・・・という人は多いんじゃないか?という気がする。今まで本を見ながらAccessを勉強して挫折したという人は、この連載を読めば案外簡単に壁を越えられる・・・かもしれない。試しに是非読んでみて欲しい。
(DB Magazine 15巻14号 通巻211/「AccessによるDBシステム改革講座」)


ライブドア事件を語る
 ライブドア事件の直後は、新聞も雑誌もテレビも、悪いことをしたから儲かってたんだとか、これから株価はどうなるとか、資金の流れはどうだとか、政治との結びつきはどうだとか・・・どこを見ても同じような目線の報道ばかりだった気がします。ところが、すこし時間が経った今になって、やや違った切り口の記事が見られるようになってきました。「たたき上げの経営者はこの事件をどう見るか」というこの記事。皆さんに読んで欲しいので、ここでは詳しい内容には触れません。ただ、ホリエモンがどうだというだけじゃなく、もっと広い意味でも読める、たたき上げの経営者から若者へのメッセージと捉えても面白い記事です。特に若い方には是非読んで欲しい内容でした。
(日経ベンチャー 通巻二五八/「ライブドア事件、私はこう感じた」) 


ベンチャー支援の形
大企業や役所に就職しても、安定や保証が得られるわけではない。終身雇用なんてもうとっくに崩壊しはじめている。そんな世の中の動きと、ネットビジネスに代表される起業ブーム、それに「一円企業」などの法整備を背景に、最近の若者の起業意識が高まっている。
 社会経験のない学生なんかにビジネスが出来るわけがない!なんて決め付けず、まずはこの記事で取り上げている例を見て欲しい。単なる金儲けばかりが目的じゃなく、自己実現したい、世の中を変えたいという若者の意識が、ストレートに会社起業に結びついていているようだ。もちろん彼らは学生だから、経験がない分だけリスクも多いし失敗もあるだろう。だからといって、それをビジネスとして甘いと切り捨てるのではなく、やる気を評価してあげてもいい気がする。その上で社会の厳しさを回りの大人が教えてあげられるような世の中になっていけば、日本のビジネスはもっともっと活性化するんじゃないだろうか?そんなことを考えさせられる記事だった。
(Fole  四十二号/「目のつけどころが“買い”だ!「学生発ベンチャー」厳選十三社」) 


■旧万世橋駅の遺構
神田駅と御茶の水駅の間を、中央線快速が停車しない場所が、旧万世橋駅のホーム跡だ。
 普段ならホーム跡に立つ事も万世橋駅に入る事も出来ないが、交通博物館が閉館前の今、「旧万世橋駅遺構特別公開」が行われている。博物館は五月十四日で閉館だが、特別公開の方は四月二十八日までで、予約をした方が確実に入場できる、と『子供の科学』で紹介している。
 実車両の展示やシミュレーター体験は場所が変わっても楽しめるが、「その場所」でないと見る事の出来ない刻まれた歴史というものもある。例えば、第二次大戦中、不発の焼夷弾が直撃した跡や、万世橋駅のホームへ向かう階段の各段に付いていた滑り止めの金属板が供出の為にはがされた名残り、等がそこにある。
 『鉄道ファン』や『鉄道ジャーナル』でも交通博物館について紹介しているので、親子でそれぞれの雑誌を読んで、語る時間を持つのも良いのではないかと思う。
子供の科学 第六十九巻 第四号/「さようなら交通博物館」)


■対談 坂村健X古川亨 
─パソコンやインターネットを取り巻く状況が変わる!新たなステージの予感を感じさせる対談。─
 月刊アスキーは、一九七七年創刊の老舗パソコン雑誌。他のパソコン誌が新製品紹介やソフトウェアの使い方に紙面を割くことが多いのに対し、もっと広くパソコン文化とでもいうものを俯瞰している編集方針が面白い雑誌です。
 二〇〇六年の一月号では新年の特集として、パソコンやインターネットの今後についての大特集を展開。その中でお勧めが巻頭の坂村健X古川亨の対談です。
 対談は古川氏の「三つの面白いことが起こっています」という気になる言葉で始まり、音楽や映像編集といったプロの領域にまでパソコンが進出し、そのテクノロジーが一般にまで降りてきている現状を示します。機材に関してはパソコンが進化した結果、プロとアマチュアの領域に境目がなくなり、やりようによってはアマチュアでもプロのクオリティを享受できるようになったと。対する坂村氏はパソコンは大きなシステムの部品と化しているとし、単体での使われ方から周辺機器との連携によりもっと広範囲な利用がなされる、たとえば音楽やビデオを持ち出せるipodの有効活用、TVの全チャンネル録画を可能(!)としたVAIOのビデオステーションなど、これらの機器とパソコンを組み合わせて使う時代になりつつあると指摘。このようなテクノロジーや周辺機器の進歩によってTVの全チャンネル録画に代表されるようにすべてのデータをそっくり記録できるようになるし、実際アメリカでは建国以来の手書きメモも含めたすべてのデータをデジタル化し、後世に残すプロジェクトが動いている。国家単位だけではなく個人の一生分のデータも残せるようになって、そうしたデータを全検索する時代がもうそこまできており、そうなるとインターネットのテクノロジーも変わっていくし、コンテンツのあり方や法律のあり方も変わっていく。そして今後はテクノロジーをマネジメントする人材が求められてくるという。
 ワープロソフトや表計算ソフトで文書を作り、インターネットのホームページを見てメールのやり取りをするといった既存のパソコンのイメージを崩されることうけあい。語られていることは役に立つのかわからない泡沫な技術ではなく、すでに実現しているテクノロジーの進化を踏まえた極めて具体的なもの。だからそこ非常に説得力があります。パソコンはこんなに進化しており、さらに未知の領域に行こうとしている現状を鮮やかに語っています。パソコンのこれからを知りたい人は必読です。
 ちなみにこの対談、「二〇〇六年デジタル大予測」という特集の巻頭に置かれているのですが、この対談中に語られていることでいくつか興味を引いたことは後の特集中で詳しく取り上げられているのに気がつきました。つまりインデックスの役割を果たしているという訳ですね。意図されたものかまではわかりませんが、非常にいい構成。Good job!です。
(ASCII 三十巻第一号 通巻三四三 /二〇〇六年デジタル大予想!)